『愛してると言ってくれ』は、音のない世界で出会った男女の静かな愛を描いたラブストーリーです。
1995年に日本で放送され、社会現象を起こした名作ドラマが、約30年の時を経て韓国でリメイクされました。
主演は、チョン・ウソンさんとシン・ヒョンビンさん。手で話す画家チャ・ジンウと、心で聞く俳優チョン・モウンが、言葉を超えて心を通わせていく姿を描いています。
2023年11月27日から2024年1月16日まで放送された本作は、静けさの中にある「想いの強さ」を繊細に映し出すクラシックメロドラマとして、多くの視聴者の共感を集めました。
今回は、『愛してると言ってくれ』のあらすじや見どころ、日本版との違いを中心に紹介していきます。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』の概要
- 原題:사랑한다고 말해줘(愛してると言ってくれ)
- 放送期間:2023年11月27日〜2024年1月16日
- 放送局:ENA/Genie TV(オリジナル制作)
- 日本配信:Disney+
- 話数:16話
- 脚本:キム・ミンジョン
- 演出:キム・ユンジン
- 出演:チョン・ウソン、シン・ヒョンビン ほか
1995年に日本で放送された名作ドラマ『愛してると言ってくれ』を、約30年ぶりに韓国でリメイクした話題作。
韓国版では、音のない世界で生きる画家チャ・ジンウと、俳優を夢見るチョン・モウンの“手話で紡がれる愛”が中心に描かれています。
日本版の雰囲気を大切にしながらも、映像美や音の使い方など、現代的な演出で新たな魅力を生み出しています。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』のあらすじ
幼い頃の事故で聴力を失った画家チャ・ジンウ(チョン・ウソン)は、手話と絵を通して静かな世界で生きてきた。
ある日、撮影現場で偶然出会った俳優志望のチョン・モウン(シン・ヒョンビン)は、ジンウの絵に心を奪われ、少しずつ彼の世界に惹かれていく。
言葉ではなく、表情や手の動き、そして沈黙の間に宿る想い。ふたりは“音のない愛”を少しずつ確かめ合いながら、互いの傷や孤独に触れていく。
やがて彼らの関係は、周囲の誤解やすれ違いに試されながらも、“伝えたい気持ち”がどんな形をしているのかを問いかけていく。
静けさの中にある温もりと、心の奥に響くメッセージ…それが『愛してると言ってくれ』の核心です。
日本版との違いとリメイクの見どころ
日本版『愛してると言ってくれ』(1995年)は、豊川悦司と常盤貴子が演じる“音のない愛”が話題となり、当時の社会に大きな感動を与えました。
韓国版では、その名作を丁寧にリメイクしながらも、現代社会の空気や価値観を反映した新しい解釈が加えられています。
まず印象的なのは、映像のトーンと演出です。
全体的に光や陰影の使い方が繊細で、登場人物の心情が静かな空気感の中で表現されています。無音のシーンが多く、手話や視線のやり取りが“セリフ以上の言葉”として響くのも特徴です。
また、主人公チャ・ジンウさんを演じるチョン・ウソンが持つ落ち着いた存在感は、韓国版ならではの深みを与えています。原作にあった“純粋な恋”の要素に、“人生を重ねた大人の愛”という温かさがプラスされ、より成熟したメロドラマとして完成しました。
静けさ、孤独、そして再生。
この3つのキーワードを通して、“愛を伝える”ことの難しさと美しさを改めて感じさせてくれる作品です。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』の主演2人の魅力
チョン・ウソンさんとシン・ヒョンビンさん、実力派2人の共演はこの作品の大きな見どころのひとつです。
チョン・ウソンさんが演じるチャ・ジンウは、言葉ではなく表情やまなざしで感情を伝えるキャラクターで、セリフのない時間が多い中で、わずかな動きや目線の変化だけで“心の揺れ”を感じさせる演技は圧巻です。静かな存在感の中に、長い孤独と優しさを滲ませています。
一方、シン・ヒョンビンさんが演じるチョン・モウンは、心の奥にある痛みと希望を同時に抱えた女性で繊細な感情をリアルに表現し、視聴者が思わず感情移入してしまうほどの共感力を持っています。彼女が見せる“伝えたいのに伝わらない”もどかしさは、この作品全体の切なさを象徴しています。
2人が並ぶと、静けさの中にも確かな温度を感じるような不思議な空気が生まれ…。まるで時間がゆっくり流れているかのような演出と、2人の呼吸の合った演技が、本作をより深いラブストーリーへと導いています。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』が描く“静かな愛”
本作の魅力は、派手な展開やセリフよりも、“静けさの中で生まれる愛”を丁寧に描いている点にあります。
音がない世界だからこそ、視線や手の動き、息づかいのひとつひとつに意味が宿ります。
手話で気持ちを伝えるジンウと、心でその想いを受け止めるモウン。ふたりの間には、言葉以上に深い理解と温もりが流れています。
また、沈黙の時間が多いこのドラマでは、観る側の“想像力”が試されます。セリフのない瞬間にこそ、ふたりが感じている感情が最もリアルに伝わってくるのです。
静かなBGMや自然音が、その感情をさらに引き立て、映像全体に柔らかい余韻を残します。
“音のない愛”は決して特別なものではなく、誰もが持つ“伝えたい気持ち”の象徴でもあります。
愛は言葉ではなく、行動やまなざしで伝わる…そんな普遍的なテーマを、美しい映像と演出で表現しているのが、この作品の真髄です。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』主演俳優のおすすめ作品
『愛してると言ってくれ』で静かな愛を演じたふたりの俳優。ここでは、チョン・ウソンさんとシン・ヒョンビンさんの代表的な出演作を紹介します。
チョン・ウソンさんの出演作品
チョン・ウソンさんは韓国映画界を代表する俳優として知られ、ドラマへの出演は非常に少ないことで有名です。そのため本作での主演は、彼にとっても貴重な挑戦といえます。
2011年のドラマ『パダムパダム〜彼と彼女の心拍音〜』では、過酷な運命に立ち向かう男性を繊細に演じ、視聴者の心を強く揺さぶりました。この作品は、彼の“静かな演技力”をより深く感じられる代表作のひとつです。
そのほかにも、映画『ハント』『私の頭の中の消しゴム』などで切ない愛や葛藤を演じ、幅広い世代から支持を集めています。
ドラマでは少ない登場ながら、ひとつひとつの作品に強い印象を残す稀有な俳優さんです。
シン・ヒョンビンさんの出演作品
シン・ヒョンビンさんは、繊細な感情表現で知られる女優です。
『賢い医師生活』シリーズでは、優しくも芯のある医師を自然体で演じ、多くの視聴者から共感を呼びました。
また、『あなたに似た人』では、心の闇や人間関係の複雑さをリアルに描き出し、幅広い演技力を証明しました。
本作『愛してると言ってくれ』では、彼女の静かでまっすぐな演技が物語の余韻をさらに深めています。
ふたりの過去作を知ることで、本作での表現の奥行きや、登場人物の心情への理解がより深まるはずです。
韓国ドラマ『愛してると言ってくれ』の感想とまとめ
韓国版『愛してると言ってくれ』は、静かな映像と音のない演出を通して、“伝えること”の意味を改めて問いかける作品でした。
派手な展開や大きな事件はないものの、ひとつひとつの仕草や言葉に重みがあり、見終わったあとも余韻が長く残ります。
チョン・ウソンさんとシン・ヒョンビンさん、ふたりの繊細な演技が生み出す静けさの美しさは、まさにこの作品ならではの魅力です。
また、日本版を知る視聴者にとっては、懐かしさと新しさが共存する不思議な感覚を味わえるはずです。原作が持つ“純粋な愛”を大切にしながら、現代の感性で再構築された韓国版は、世代を超えて心に響くラブストーリーとして完成しています。
“言葉にしなくても伝わる想い”を信じたくなるような、静かで温かい時間。ゆっくりと流れる物語の中で、自分自身の「愛のかたち」について考えさせられる作品です。