中国ショートドラマを見ていると、結婚した男女が赤い冊子を手にしている場面をよく見かけます。
この赤い冊子は「結婚証明書」と呼ばれるもので、中国では正式に結婚したことを証明する大切な書類です。
日本ではあまり見慣れないものなので、「何のために必要なの?」「どうして2人の写真が載っているの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。
この記事では、中国ショートドラマによく登場する結婚証明書の意味や役割、写真の決まり、ドラマの演出と実際の制度の違いについて紹介します。
中国ショートドラマによく登場する赤い結婚証明書とは?

中国ショートドラマでよく見かける赤い冊子は、中国語で「结婚证(ジエフンジョン)」と呼ばれる結婚証明書です。
中国では、結婚する際に「婚姻登記」という手続きを行い、正式に夫婦として認められると結婚証明書が交付されます。
日本では婚姻届を提出して結婚しますが、中国では婚姻登記を行った夫婦に、それぞれ1冊ずつ赤い結婚証明書が渡されるのが特徴です。
つまり、ドラマで男女が手にしている赤い冊子は、2人が法律上の夫婦であることを示す公的な証明書なのです。
結婚証明書には何が書かれている?
中国の結婚証明書には、主に以下の情報が記載されています。
・夫婦それぞれの氏名
・性別・生年月日
・国籍
・身分証明書番号
・結婚の登記日
・結婚証明書の番号
・夫婦2人の顔写真
このほか、婚姻登記を担当した職員の署名や、登記機関の公印も入っています。
特に目を引くのが、夫婦2人の顔写真です。
日本の婚姻届には顔写真を貼る必要がないため、初めて見ると少し不思議に感じるかもしれません。
なお、写真については、撮影場所や服装にも気になる決まりがあります。こちらは後ほど詳しく紹介します。
中国では結婚すると必ずもらうもの?
中国では、法律上の夫婦になるために婚姻登記が必要です。
婚姻登記を行い、結婚の条件を満たしていることが確認されると、夫婦それぞれに結婚証明書が交付されます。
そのため、結婚式を挙げたり、長年一緒に暮らしたりしているだけでは、原則として法律上の夫婦にはなりません。
中国ショートドラマでは、豪華な結婚式を挙げる場面もあれば、結婚式をせずに結婚証明書を受け取る場面も登場します。
これは、結婚式と婚姻登記が別のものだからです。
中国では、結婚式の有無にかかわらず、正式な婚姻登記を行うことが法律上の結婚につながります。
中国の結婚証明書は何のために必要なの?
中国の結婚証明書は、2人が法律上の夫婦であることを証明するための公的な書類です。
中国では、結婚証明書を使って婚姻関係を証明する場面があります。例えば、配偶者に関係する行政手続きや財産に関する手続きなどです。
日本でも結婚していることを証明する場面はありますが、中国とは証明方法が少し異なります。
日本の婚姻届や戸籍とは何が違う?
日本では、市区町村に婚姻届を提出し、受理されることで法律上の夫婦になります。
その後、結婚していることを証明したい場合は、一般的に戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)などを取得します。
一方、中国では婚姻登記を行うと、夫婦それぞれに赤い結婚証明書が交付されます。
つまり、日本では戸籍などを使って婚姻関係を証明するのに対し、中国では結婚証明書そのものを使って証明できるのが大きな違いです。
なお、中国にも「戸口簿(フーコウブー)」と呼ばれる、日本の戸籍と比較されることもある住民登録の書類がありますが、制度や役割は日本の戸籍とは異なります。
結婚証明書がないと夫婦として認められない?
中国では、結婚証明書を持っているかどうかよりも、正式な婚姻登記が行われているかどうかが重要です。
中国の民法では、婚姻登記が完了すると婚姻関係が成立すると定められています。
そのため、結婚式を挙げて夫婦として生活していても、原則として婚姻登記をしていなければ、法律上の夫婦とは認められません。
一方、正式に婚姻登記を済ませていれば、結婚証明書を紛失したからといって婚姻関係がなくなるわけではありません。
中国ショートドラマで、結婚しているはずなのに公的な記録では独身だったという展開がありますが、こうした場面でも重要になるのは、正式な婚姻登記が行われているかどうかです。
中国の結婚証明書にはなぜ2人の写真があるの?
中国の結婚証明書には、夫婦2人が並んで写った顔写真が掲載されています。
中国では、婚姻登記の際に2人の顔が確認できる証明写真を提出する決まりがあり、結婚証明書にもその写真が使用されます。
写真は2人が一緒に写ったものが必要で、それぞれの写真を合成したものは認められていません。
写真はいつ、どこで撮影するの?
中国の結婚証明書に使う写真は、婚姻登記をする当日に撮影する必要はありません。
事前に写真館などで撮影し、条件を満たした写真を持参することもできます。また、婚姻登記所に撮影設備が用意されている地域もあります。
例えば、上海市では婚姻登記所で無料の証明写真撮影サービスを提供することが定められています。
つまり、ドラマで突然結婚することになり、その日のうちに写真を撮って結婚証明書を受け取る場面も、写真撮影の仕組みとしては不自然ではありません。
ただし、実際にその日に婚姻登記ができるかどうかは、窓口の受付状況などによって異なります。
赤い服や白い服を着ているのはなぜ?
中国ショートドラマでは、結婚証明書の写真を撮影するときに、2人で赤い服や白い服を着ている場面があります。
中国では赤色が幸福やお祝いを象徴する縁起のよい色とされており、結婚のお祝いにもよく使われています。そのため、結婚の記念として赤い服を選ぶ人もいます。
一方、白いシャツなどをおそろいで着るスタイルも見られます。特に赤い背景の証明写真では、白い服を着ることで顔や服装がはっきりと見え、すっきりした印象になります。
ただし、赤や白の服を着なければならないという決まりはありません。
写真撮影に服装の決まりはある?レンタルもできる?
中国の結婚証明書の写真には一定の条件がありますが、必ずしも特別な衣装を用意する必要はありません。
例えば、深圳市の婚姻登記所では、写真について次のような条件を案内しています。
- 最近6か月以内に撮影したもの
- 2人が正面を向いて写っているもの
- 顔が髪などで隠れていないもの
- 帽子や色付き眼鏡を着用していないもの
- 肩が大きく露出する服装ではないもの
- 背景が赤色のもの
また、ウェディングドレスを着た写真や、過度に加工・演出された写真は認められない場合があります。
なお、写真の背景色などの条件は地域によって異なります。例えば、北京市では赤・青・白の背景が認められています。
衣装についても、写真館などで撮影用の服を借りられる場合がありますが、婚姻登記所で必ずレンタルできるわけではありません。
ドラマで2人が急いで服を着替えている場面もありますが、結婚証明書の写真を撮るために全員が専用の衣装を用意する必要はないのです。
中国ショートドラマの結婚証明書に関する疑問
中国ショートドラマでは、CEOが部下に結婚証明書を用意させたり、結婚していると思っていたのに実は独身だったりと、驚くような展開があります。
では、こうした出来事は実際の中国でも起こり得るのでしょうか?
中国の婚姻登記制度と照らし合わせながら、ドラマで気になる疑問を解説します。
部下や知人が代わりに結婚証明書を取得できる?
中国では、結婚する本人2人が婚姻登記機関に出向く必要があり、部下や知人が代わりに結婚の手続きをすることはできません。
2025年5月10日から施行された「婚姻登記工作規範」では、婚姻登記の際に次のような確認が行われます。
- 本人確認と身分証明書の照合
- 結婚する意思や婚姻状況の確認
- 本人による署名と指紋の押印
- 結婚証明書を受け取る際の本人確認
また、結婚証明書は夫婦それぞれに直接交付されます。
そのため、ドラマのようにCEOが部下へ「結婚証明書を用意しておけ」と命じたとしても、本人たちが婚姻登記をせずに正式な結婚証明書を取得することはできません。
なお、これは2025年から始まった決まりではなく、以前から本人2人による婚姻登記が必要とされていました。
結婚証明書が偽物だったという展開は実際にあり得る?
中国ショートドラマでは、夫から渡された結婚証明書が偽物だったという展開も見られます。
結婚証明書は公的な書類ですが、見た目を似せた偽物を作ること自体は考えられます。
しかし、偽物の結婚証明書を持っていても、正式な婚姻登記が行われていなければ法律上の夫婦にはなりません。
中国では婚姻登記の際に本人確認や婚姻状況の照合が行われるため、赤い冊子を用意するだけで公的な婚姻記録まで作れるわけではないのです。
また、結婚証明書の偽造は違法行為にあたる可能性があります。
そのため、ドラマで偽物の結婚証明書が登場した場合は、正式な婚姻登記を済ませたのではなく、相手をだますために偽物を渡していたという設定が考えられます。
結婚したつもりなのに独身だったということはある?
中国ショートドラマでは、長年夫婦として暮らしていた女性が、ある日自分の婚姻状況を確認すると、実は独身だったと判明する展開があります。
中国では、法律上の婚姻関係を成立させるために婚姻登記が必要です。
そのため、結婚式を挙げたり、何年も一緒に暮らしたりしていても、正式な婚姻登記が行われていなければ、原則として法律上の夫婦にはなりません。
ただし、ここで一つ疑問が生まれます。
中国では本人2人が婚姻登記に行く必要があるのに、なぜ結婚していると信じてしまったのでしょうか?
考えられるのは、婚姻登記の仕組みを詳しく知らなかったり、相手から「知り合いに頼めば手続きできる」と説明され、それを信じてしまったりするケースです。
もちろん、これはドラマの展開から考えられる可能性であり、実際に代理で婚姻登記ができるわけではありません。
ドラマではこうした手続きの矛盾が省略されることもあるため、現実の制度とは分けて考える必要があります。
中国の結婚証明書をなくしたらどうなる?
中国の結婚証明書は、法律上の夫婦であることを証明する大切な書類ですが、なくしてしまった場合はどうなるのでしょうか?
また、中国ショートドラマでは離婚証明書が登場することもありますが、結婚証明書とはどのような関係があるのでしょうか。
紛失した場合は再発行できる?
中国では、結婚証明書を紛失したり、破損したりした場合、再交付を受けることができます。
婚姻登記機関には結婚した際の記録が保管されているため、本人確認や婚姻記録の照合を行い、正式な結婚が確認できれば新しい結婚証明書が交付されます。
そのため、結婚証明書をなくしたからといって、夫婦関係が解消されるわけではありません。
また、結婚証明書の再交付は、新しく結婚するための手続きとは異なります。
離婚するときは結婚証明書が必要?
中国では、結婚証明書とは別に「离婚证(リーフンジョン)」という離婚証明書があります。
夫婦が話し合いによって離婚する場合は、婚姻登記機関で離婚の手続きを行います。
このとき、原則として結婚証明書の提出が必要です。
離婚の手続きが完了すると、結婚証明書には「双方が離婚したため、この証明書は無効」という内容の印が押され、本人に返却されます。
そして、新たに離婚証明書が交付される仕組みです。
なお、中国では協議離婚の場合、原則として30日間の「離婚冷静期」が設けられています。
そのため、ドラマのように離婚を決意してすぐに離婚証明書を受け取れるとは限りません。
ただし、裁判による離婚は手続きが異なり、離婚証明書ではなく裁判所の判決書や調停書などによって離婚が成立します。
まとめ|中国ショートドラマの赤い結婚証明書は正式な夫婦の証
中国ショートドラマによく登場する赤い結婚証明書は、中国語で「结婚证(ジエフンジョン)」と呼ばれ、法律上の夫婦であることを証明する公的な書類です。
日本とは異なり、夫婦2人の顔写真が掲載され、婚姻登記を行うとそれぞれに1冊ずつ交付されます。
また、中国では結婚する本人2人が婚姻登記を行う必要があるため、ドラマのように部下が代わりに結婚証明書を取得することはできません。
中国ショートドラマには、実際の文化や習慣が反映されている一方で、物語を盛り上げるための演出もあります。
結婚証明書の仕組みを知っておくと、これまで何気なく見ていたシーンも、少し違った視点で楽しめるのではないでしょうか。

